関節の構造

私たちは歩いたりからだを動かしたりするとき、必ず関節の動きが伴っています。関節とは骨と骨とが連結する部分で、膝、肘、腰、肩など体中のいたるところにあります。部位によってかたちも動きも異なりますが、いずれの関節も人の動きに欠かせないものです。

●関節と痛み

日々の生活の中で関節が問題なく動いているときは関節の状態は気にならないものですが、不快感や痛みが出て生活に支障が出てくると関節の具合が常に気になり、場合によっては耐え難い痛みに発展してしまうこともあります。関節は日ごろ意識せず動かしているので不快感や痛みが出て初めて関節の大切さに気付くのです。特に膝関節が痛むと歩くことに支障が出てくるため自由な行動が制約されてしまい、何らかの対処が必要になります。
膝関節の痛みには先天性のもの、外傷、炎症、腫瘍性のものもありますが、膝の関節軟骨のすり減りが原因となる場合が多いようです。膝の痛みを訴える中高年の8割以上は関節軟骨のすり減りなどが原因の疾患である変形性膝関節症の疑いがあると言われており、変形性膝関節症は自覚症状のある人だけでも国内に1000万人、医療機関を受診していない潜在的患者は3000万人と推計されていて、大変多くの人を悩ませている疾患だと言われています。変形性膝関節症を含む関節の疾患は高齢になると発症する場合が多く、ロコモティブシンドローム(運動器症候群)の三大要因のひとつでもあり、活動的な生活を送る妨げになっている場合が多いようです。因みにロコモティブシンドロームは運動器の障害のために移動機能の低下をきたした状態、三大要因の他のふたつの要因は骨粗しょう症、脊椎管狭窄症です。

●関節の構造

関節では骨と骨がぶつかったりこすれ合ったりせず滑らかに動くよう、いろいろな機能を持つ部位が存在します。まず、軟骨は骨と骨との接触面を覆って衝突や摩擦を防ぐクッションの役割をしています。次に、半月板は膝関節内側と外側にひとつずつある軟骨組織で、これもクッションの役割をしています。そして、滑膜は関節が滑らかに動く働きをするとともに、滑液を産生し関節に栄養を与えています。関節腔は骨と骨の間にあるすき間で、滑液で満たされています。前十字靭帯および後十字靭帯は大腿骨と脛骨を結ぶ紐で、関節を安定させる役割があります。さらに、膝蓋骨は膝関節の前面にある平らな骨で膝を守っているとともに太ももの筋肉(大腿四頭筋)が効率よく働くよう助ける役割をしています。最後に、膝蓋骨と脛骨を繋ぐのが膝蓋靭帯です。
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