大人のぜんそく 長引くセキの原因


セキはとてもつらいもの。長引くセキは風邪ではない可能性も考えられます。

●風邪との違い

風邪や喉の炎症からはじまったセキがいつまでもとれないことがあります。セキはときにとても苦しくまた交通機関や人前でセキが止まらなくなると、いたたまれなくなります。長引くセキはいったい何が原因なのでしょうか。まず呼吸器のしくみをみていきましょう。気道は、上気道、下気道(下図参照)に分けられます。

風邪の別名は「上気道炎」です。多くの風邪はウィルスが原因で上気道が炎症を起こしているもので、概ね2週間以内にウィルスがからだの免疫反応により消滅し回復するとされます。よって、ウィルスが原因でない、または炎症をおこしているのが上気道でない、もしくは2週間以上セキが続いているような場合は風邪ではないとされます。一方、風邪の1~2割を占める細菌(例:溶連菌)による風邪の場合は、比較的高熱がでて症状も重くなり体調が相当にすぐれなくなります。この場合は医師による抗生物質での治療が必要になります。

●長引くセキの要因は?

風邪ではない長引くセキの要因は、主にセキぜんそく、肺炎、COPD(タバコを原因とする慢性の肺、下気道疾患)の3つが考えられます。一つ目のセキぜんそくとは気道が刺激に対して敏感になっているもので、近年増加傾向にあります。統計によると成人の20~30人に1人はセキぜんそくの症状があるといわれ、身近な病気の一つになってきています。セキぜんそくは、風邪、インフルエンザ、過労や睡眠不足、ストレス、寒暖差・乾燥した空気、煙草などの各種刺激からはじまり、自然治癒することなく数ヵ月から20年以上に及んでセキが続く場合もあります。二つ目の肺炎は高齢者に多い要因で、主に誤嚥性肺炎と細菌(肺炎球菌性肺炎)やウィルス(インフルエンザウィルス等)によるものがあります。最後にCOPDはタバコを原因として、気道や肺に炎症や組織の破壊が起きるものです。いずれの要因の場合も放っておくとさらに深刻な事態につながることも少なくなく、セキが続く場合は早めに専門医を受診し、要因を知り治療することが大切です。

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