ウェルビーイングとは
世界的に重要視され、広く語られるようになってきたウェルビーイングとは。
●ウェルビーイングとハッピー
古代ギリシャ・ローマでは、個人の幸せを考えるのに「幸福主義」と「快楽主義」があったといわれます。幸福主義とは人生を通してよい状態にあることを目指して日々を送り、心身ともに安定した状態である、またはあることを目指すのに対し、快楽主義とは例えば飲酒や歓楽のようにその場限りの楽しさを求めて行動することのようです。
WHO(世界保健機構)では心身共に健康であることを「ウェルビーイング」とし、最近では広くウェルビーイングという言葉を用いて人々の長期的短期的な幸福を論じるようになってきています。ウェルビーイングは単に今幸せ(ハッピー)であると思うことにとどまらず、心身共によい状態にあり、さらに自らの人生に対して前向きであることといえるでしょう。
●世界的に重要視されているウェルビーイング
ウェルビーイングが広く語られるようになってきた理由の一つに、経済的・物質的な豊かさだけが人々の幸せを必ずしも意味しない。ということが明らかになってきているからです。衣食住がある程度満たされていることは重要ですが、衣食住に代表される物質的、経済的な豊かさが幸せと直結しない場合もあります。そのことに比較的早くから気づいている国がいくつかあり、幸福であることを経済的豊かさよりも大切にしているデンマークやブータンが代表的です。
ブータンでは、70年代から「国民総幸福量」をもとに国が発展する方向を決め、あらゆる国家の重要政策は、国民総幸福量を鑑みて決定します。またイギリスでは国民一人ひとりの幸せ度を数値化する「国民幸福度調査」を国家規模で行い、国民の幸福を実現する枠組み、政治の方向性を図ることを行っています。このように一人ひとりが幸福であることは個人にとって重要であると共に、社会全体の平和や発展に対しても大きな意味があるという考え方が拡がってきています。