7大栄養素⑦ ファイトニュートリエント
健康や美容の鍵となる植物の恵み
ファイトニュートリエントとは「ファイト(Phyto)=植物、ニュートリエント(Nutrient)=栄養素」と記述される、天然の化学成分です。自ら動くことができない植物が、害虫や紫外線から身を守るために生成する物質で、人間はこれを食べて自然の恵みを得ていますが、野菜不足が問題視される中で大きく注目を集めています。
国が推進する健康づくり運動「健康日本21」で、成人の1日当たりの野菜摂取量の目標値が「350g」とされているにも関わらず、実際には平均272.8g(平成25年国民健康・栄養調査結果による)しか摂取できていません。このように、植物がもつファイトニュートリエントは、野菜不足の現代人にとって、より意識して摂る必要のある大切な成分といえるでしょう。いまや「第7の栄養素」と呼ばれています。
●ファイトニュートリエントの働き
ファイトニュートリエントは、ビタミンやミネラルのように厚生労働省の基準では必須栄養素ではありません。しかし人間の体内で作ることもできません。近年の研究では、摂取することによって、健康維持や美容にさまざまな効果をもたらす栄養素であることが解明されてきました。例えば抗酸化力によって活性酸素からからだや肌を守り、免疫力を強化してくれます。また、肝臓の解毒を助け、がんのリスクを減らすほか、アレルギー症状の緩和、血流、血圧、血行、血液の状態などを良好にする効果があると考えられています。
●抗酸化成分は、「色」で分かります
ファイトニュートリエントの種類は何千~何万といわれ、ひとつの食物中にも数十から数百種が存在しています。植物や果物にもたらされる色素や香り、辛み、アクなどの成分はファイトニュートリエントによるもので、中でも色による分類は、私たちに恩恵をもたらす成分を理解する、もっとも分かりやすい指針となります。オレンジと黄色の食物は、「フラボノイド、カロテノイド」を多く含み、心臓血管系のトラブル予防に効果が期待できます。また、緑色の食物にはある種のがんのリスクを減らす「ルテイン」が、赤色の食物には、心臓血管や肺疾患に効果的とされる「リコピン」が、このほかの紫、白、黒色の食物にも抗酸化作用をもつ成分が多く含まれています。ファイトニュートリエントは、加熱によって破壊されることがないため、さまざまな調理法や食べ合わせを考えてより効果的に摂取していきましょう。
●ファイトニュートリエントの分類と抗酸化特性
栄養素は、大きく3つの群に分類されます。緑黄色野菜などに含まれるカロテノイド群は、抗酸作用をもち美肌のために、植物の光合成の際に生まれるポリフェノール・フラボノイド群は、高血圧や動脈硬化などの予防に、玉ねぎなどの辛み成分の総称であるイオウ化合物群は、強い抗酸化能力をもち、抗血栓作用のために働きます。