筋肉と加齢
日ごろからからだを活発に動かし、筋肉をつかいましょう。
●生活の質との関係
人の筋肉量は30代に入ると減少しはじめ、年々減り続けるといわれます。また、年齢とともに成長ホルモンやテストステロン(筋肉を増強する男性ホルモン)の分泌量が減少するため、若いころに比べて筋肉を合成することが難しくなっていきます。
一方、筋肉は高齢になってからの生活の質と密接に関係します。最も生活の質と関係する筋肉は4つあります。ひざを伸ばす働きをする太腿前の大殿四頭筋、太腿を後方にふる働きをするお尻の大殿筋、上体を支える腹筋群と背筋群です。腹筋群と背筋群はまとめて抗重力筋ともよばれます。これら4つの筋肉は日常の身体活動を支えますが、加齢で衰えやすい筋肉でもあります。例えば、太腿の前の大殿四頭筋の80歳代の平均値は、30歳代の平均値の半分程度といわれます。
●サルコペニア
加齢に伴う筋力の低下は「サルコペニア」とよばれます。サルコペニアにより日常の行動が制限される、または、サルコペニアにより転倒などがおこり骨折し、寝たきりになってしまうこともあります。高齢になってから自分の意志で自由に動くことができる状態にあるためには、生活に関連する4つの筋肉をはじめとしたからだの筋肉量が鍵となります。そして、サルコペニアは運動によって防ぐことができます。筋肉の合成のスピードは若いころに比べて遅くなるものの、日常の活発な身体活動で筋肉を使い、また、筋肉トレーニングをして継続的に鍛えることで、年齢に関わらず筋肉を強く大きく発達させることができるからです。