大人のぜんそく セキぜんそく
●セキぜんそくを放置すると肺の機能低下に
セキぜんそくとは、炎症によって気道の粘膜が敏感になり、ちょっとした刺激に反応してセキがでてしまう状態のことをいいます。ぜんそくというと子供の病気というイメージをもっている人がまだ多く、セキが続いても風邪の治りが遅い、花粉症が長引いているというように自己解釈をして、セキぜんそくの可能性を考えない人が多いようです。しかし実際はセキぜんそくにかかる人は年々増加、もはや誰がかかっていても不思議ではない状況です。
セキぜんそくを警戒すべきその理由は、治療せずに放置していると3人に1人は気管支ぜんそくになるといわれ、日常生活に影響がでる肺の機能低下につながります。刺激物がなくても深夜や明け方の気管支が収縮する時間にセキがでて、とまらないこともあります。また、気道に炎症が生じると気道の粘膜がむくんで腫れて、空気の通り道が細く狭くなり呼吸が苦しくなります。さらに気管支がけいれんを起こし収縮して、呼吸音がゼーゼー、ヒューヒューと鳴る喘鳴(ぜんめい)が起きる気管支炎へと悪化し肺の機能に影響がでます。
肺機能を調べる検査で測定する「肺年齢」がありますが、セキぜんそくの人は肺年齢が実年齢より大幅に高い方もいて、なかには20代で肺年齢が80代という場合もあるようです。治療を受ければ殆どの場合、肺年齢を実年齢に近づけていくことはできますが、放置している期間が長いと回復に時間がかかる場合もあり、早めの治療がカギとなります。特定のアレルゲン(特にダニやホコリ、花粉)に反応するアレルギーをもつ人はセキぜんそくになりやすく、アレルギー性鼻炎の人の2~3割にセキぜんそくがあるといわれ、セキぜんそくをもつ成人の6割がアトピー型といわれます。
●セキを悪化させる要因は多数
セキを悪化させる要因の第一位は「風邪」で、セキぜんそくの人の7割程度が風邪によってさらにセキを悪化させているという報告もあります。ウィルスや細菌により上気道に炎症が起こるとセキぜんそくを悪化させます。次に多い要因は「天候」で、気圧、気温、湿度の変化が刺激になりセキを悪化させます。特に梅雨、台風、雨はぜんそくの発作を引き起こすことが多いとされます。他には外因的な要因としてタバコ、ホコリ、ペット(毛や糞)、花粉などが多くみられますが、その他にも大気汚染から香水まで、気道を刺激するもの全てがセキを悪化させる要因になります。
内因的な要因としては、疲労、ストレスをはじめとして、運動も刺激になります。運動をすると呼吸が早くなり、特に冬は乾いた冷たい空気が温まる前に気道に入り、粘膜を刺激して発作を招くこともあります。疲れているときに急激な温度変化にさらされるなど要因が複合することもあります。セキぜんそくの症状の特長は、深夜から明け方にかけてセキがでやすい、温度変化に敏感、タバコの煙などの刺激でセキが止まらなくなる、ヒューヒューといった喘鳴(ぜんめい)は少ない、呼吸困難になることはあまりない、といったことです。セキが続くときは自己判断をせずに、呼吸器科を早めに受診することが大切です。